水曜日, 7月 19, 2006

フォーレ/グランムザン さようなら

さようなら

全ては足早に消えていく
花開いた薔薇も
瑞々しく色とりどりの
野原の草花も
愛し合うものたちの 
長い吐息も
消えていってしまう

移ろいやすいこの世の中で
砂浜の波よりも
早く変わってしまう
花のような霧氷よりも早く
私たちの心は・・

あなたには 変わらぬ愛を信じた
むごい人 でも
永遠の愛とは短いもの
そして 別れを告げる
あなたの魅力に
涙を見せずに
私の告白のとき
さようなら

フォーレ/グランムザン いつも

いつも

あなたは私に 
黙って遠くへ立ち去れと言う
永久に
孤独に行けと
愛した人に未練を残すことなく

言ってください
むしろ 星に向かって
巨空に散ってしまえと
夜に向かい
ヴェールを脱ぎ捨てろと
昼に向かい
輝きを捨てろと
広大な海に
大波を荒れ狂わせてしまえと

風が吹き荒れるときには
陰鬱なすすり泣きを鎮めろと
言ってください

でもこれだけは 望まないで欲しい
私の魂を無理やりに
激しい苦悩から引き離し
情熱の炎を消し去ることを
まる春が花を亡くしてしまうように

フォーレ/グランムザン 出会い

出会い

私はあなたと出会った時
悲しく 思い悩んでいた
今日は その執拗な苦しみも
和らいでいる

さあ 言っておくれ
あなたは 思いもかけず
虚しく理想の夢を追う女なのか?
優しい瞳の行きずりの女
あなたはもしや 
孤独な詩人を幸せにしてくれるのか?
あなたは
かたくなになった私の心に
光を放つのか?
まるで
遠く離れた懐かしい故郷の空のような

あなたの無秩序な悲しみは
私のものと似ている
海に落ちていく太陽を見たいのだ
その広大さに あなたは陶酔し
夕暮れの魅力こそ
あなたの美しい魂に 価値あるものになる

神秘的で優しい共感は
すでに生き生きとした絆のように
僕と君を結び合わせる
満ちていく愛に
私の心はふるえ
まだ良く知り合う前なのに
あなたを愛している

フォーレ/シルヴェストル 優しい路

優しい路

私が歩く 最も優しい路
彼女のところへ続く路
彼女が 私に冷たくしても
明日も 又 ここを通るだろう

ジャスミンの花咲く
この瑞々しい季節
彼女が 私に辛くあたっても
花を手に ここを通る

彼女の冷淡な心に触れるため
苦しい胸のうちを語りかける

彼女が 私に冷たくしても
ここは 私にとって
最も優しい路

フォーレ/リル イスパアンの薔薇

イスパアンの薔薇

苔で覆われたイスパアンの薔薇
モスルのジャスミン
オレンジの花・・
それらは、新鮮でも優しくも無い。
白いレイラよ
あなたの軽やかな吐息に比べれば

あなたの唇は珊瑚のように赤く
その軽やかな笑い声は
川のせせらぎよりも
心地よく 優しく響く
オレンジの木を撫でる
楽しげな風よりも
苔の巣のふちでさえずる小鳥よりも
美しく響く

おぉ レイラよ
全ての口づけがあなたの唇から
軽やかに飛び去ってしまってから
色あせたオレンジの木は
香りをなくし
苔に包まれた薔薇も
その神々しい芳香をなくしてしまった

おぉ! 若い恋人 軽やかな蝶々
戻ってきておくれ
早く優しい羽に乗って
そして再び オレンジの花を香らせておくれ
苔につつまれた
イスパアンの薔薇を
香らせておくれ

フォーレ/シルヴェストル 秘密

秘密

夜に告げたその名を
朝には知らぬふりをして欲しい
夜明けの風に音を立てずに
一粒の涙のように
消し去っておくれ

昼には全てを明かして欲しい
朝には秘めていた愛を
そして開かれた私の心に
身を傾けて
一粒の香のように
燃え上がらせておくれ

夕暮れには忘れて欲しい
昼に告げた秘密
私の愛と一緒に
運び去っておくれ
色あせたローブの襞に隠して

フォーレ/ゴーティエ 悲しみ

悲しみ

4月がまた廻ってきた
咲き始めの瑞々しい薔薇が
春の日差しに微笑みかける
恵みを受けた大地は
開かれ輝き
愛と喜びで満ちている
でも 私は心に
恐ろしい悲しみを抱えたまま

上機嫌な酒飲みたちが
陽気な歌を歌い
ぶどうの木の下で
ワインと美女を褒め称える
楽しげな音楽は
彼らの明るい声と交じり合い
辺りにふりまかれる
でも 私は心に
恐ろしい悲しみを抱えたまま

白いドレスを着た
若い娘たちが
恋人に腕を絡ませて
みどりの東屋の下を歩く
物憂げな月は
彼らの長く情熱的な口づけを
銀色に染める
でも 私は心に
恐ろしい悲しみを抱えたまま

私は何も愛さない
男も 女も
自分の体や 心
年老いた飼い犬さえも
色あせた芝生に掘って欲しい
名前の無い墓穴を
ああ 私は心に
恐ろしい悲しみを抱えたままだ。

フォーレの歌曲

今回、フォーレをまとめて勉強することになった。
フォーレの作品というのは、聴いているものの耳には、
とても優しく自然に感じるのに、
演奏する側にとっては少々厄介だ。
どう厄介かというと、簡単に言って、「歌いにくい」。
ピアニストにとっても然りのようで、
同じように「弾きにくい」らしい。

いつものように歌詞の対訳から手をつけることとする。

電話:反省

今回、2回続けての公演だった。
結局、「ティータイム」という設定には無理があり、
夕暮れのワインタイムに変えたとたん、
主人との息が合ってきた。
1回目はホームコンサート、2回目はレストランでの上演。
ホームコンサートでの設定は、ルーシーの自宅。
黒電話を使用したバージョン、
2回目は、レストランでの出来事、という設定。
レストランのマネージャーにお手伝いいただいての上演となった。

反省点は無くもないが、気にしてもしょうがないようなこと。
電話をめぐってのドラマは成立したし、
今の私の実力では程ほどではないだろうか。