水曜日, 7月 19, 2006

フォーレ/ゴーティエ 悲しみ

悲しみ

4月がまた廻ってきた
咲き始めの瑞々しい薔薇が
春の日差しに微笑みかける
恵みを受けた大地は
開かれ輝き
愛と喜びで満ちている
でも 私は心に
恐ろしい悲しみを抱えたまま

上機嫌な酒飲みたちが
陽気な歌を歌い
ぶどうの木の下で
ワインと美女を褒め称える
楽しげな音楽は
彼らの明るい声と交じり合い
辺りにふりまかれる
でも 私は心に
恐ろしい悲しみを抱えたまま

白いドレスを着た
若い娘たちが
恋人に腕を絡ませて
みどりの東屋の下を歩く
物憂げな月は
彼らの長く情熱的な口づけを
銀色に染める
でも 私は心に
恐ろしい悲しみを抱えたまま

私は何も愛さない
男も 女も
自分の体や 心
年老いた飼い犬さえも
色あせた芝生に掘って欲しい
名前の無い墓穴を
ああ 私は心に
恐ろしい悲しみを抱えたままだ。

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