木曜日, 10月 05, 2006

カルメル1幕3場

カルメル派修道院の一室。
入会を許されたブランシュは、年若いコンスタンスとともに、
雑用に追われている。 コンスタンスは、到着した荷物をチェックし、
ブランシュは洗濯物をたたんでいる。

他愛もないおしゃべりが止まらないコンスタンス。
聞くともないおしゃべりの合間、自分との違いに驚きながらも、
「院長様のお体が思わしくないのに、不謹慎です」と非難する。
それならば、院長様が助かるのなら、私の命を捧げます。と言い放つコンスタンス。
「でも、59歳なら、もう死んでも良いころかしらね」
冗談を言うコンスタンス。「死ぬのは怖くないのですか」取り乱すブランシュ。
「きっと怖いわ。 ずっと前は。でも今は全てが楽しいから・・
死ぬことも同じなんじゃないかって・・ 淡々とお仕事をすることも、
神様に仕える生活も楽しいのよ」
「冗談ばかりを言って、神様がお怒りにならないかしら」嫌味を言うブランシュ。
「まあ、ブランシュさん、意地悪をしているみたいだわ」
「いいえ、そうではなくて、ただあなたが羨ましくて」
「私が羨ましい?どうして?変な話よ。
私なんて鞭打ちにされてもいいくらいです。院長様の
死を軽々と話してしまったわ!・・・
ああ、ブランシュさん、先ほどはごめんなさい。
仲直りをしましょう。
一緒にひざをついて、院長様のために、私たちのこの小さな命を・・」
(動揺して)
「子供じみているわ!」
「そんなことないですよ。・・突然ひらめいた考えだけど、
全然悪い考えではないわ。私はいつも、若いままでいたいと・・」
「私にいったい何を・・?」
「そうね、あなたに会ったとき、願いがかなうと感じたのよ・・」
「願いって何? ・・答えて頂戴」
「そうね、神様は、私を若いままでいさせてくれるのよ。
私たちは一緒に亡くなるの。同じ日に・・
どこで、どのように、なんてまだわからないけれど」
「何てこと!恥ずかしくないの?人の命を自分の命のように・・
あなたは傲慢だわ、悪魔みたいに・・・そんなこと、やめて下さい!」
「あなたを傷つけるつもりはなかったのよ」

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