木曜日, 10月 05, 2006

カルメル1幕4場

危篤の院長の寝室。メールマリーが看病に当たっている。
院長に特別に呼び出されたブランシュ、扉をたたく。
「お通しして」
メールマリーは、ブランシュを通した後、部屋を出る。
ブランシュベッドの傍で跪く。
「お立ちなさい。娘よ。
誰よりもあなたのことを気にかけています。
遅くにできた子供のようです。誰よりも危なっかしく、
ハラハラさせられてもいます。
あなたを危険から守るためなら、私はこの憐れな命を進んで捧げます。
・・あぁ、そうね、捧げましょう。今の私にはこれしかない、
死しか、とても憐れな死・・
(ブランシュ再び跪き、泣きじゃくる)
神は聖者や英雄、殉教者を誇りに思われます。貧しいものにも光栄を与えます。」
「私は貧しさを恐れません」
「貧しさにもいろいろあって、惨めな貧しさに、あなたは浸ることになるかもしれません
いとしい娘。 何があっても素直でいなさい。神の手の中で、
いつまでも従順でやさしくあり続けて。
聖者は誘惑と戦うことも、自分自身に反発することもありませんでした。
反発は常に悪魔のものです。くれぐれも自分を卑下しないで。
神はあなたの誇りを引き受けられたのですよ。
それはずっと安全なことなのです。
さあ、しっかりお立ちなさい。あなたを祝福します。わが娘よ。」
ブランシュは一旦部屋に戻るが、取りつかれたようにまた戻ってくる。
その間に院長は錯乱状態になり、神をののしり始める。
ブランシュは凍りついたように立ちすくむ。
「院長様は、あなたを傍にと呼んでおられます。」とメールマリー。
ブランシュ院長の傍による。
「とんでもないことだわ!許されないことです!」とメールマリーつぶやく。
「お許しを!・・死が・・怖い!・・・死ぬのが怖い!!」院長臨終。
「院長様は望んでおります。 ・・おりました。 ・・きっとそうです。」

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