カルメル2幕1場
カルメル会の礼拝堂。夜中。棺は6本のろうそくに照らされる。
なくなった修道院長の棺は蓋を開けたまま。礼拝堂の中央におかれている。
ブランシュとコンスタンスは亡骸の番をしている。
「ラザロの墓よりその方は復活なされました。
主よその者に安息と、慈悲の御心をお与えください。
そのお方はいける人と死せる人とを
炎を持って永久のときをお裁きになるため来られたのです。
主よそのものに安息と、慈悲の御心をお与えください。アーメン」
コンスタンス交代の修道女を呼びに出て行く。
ブランシュひとり。凍りついたように固まっている。
次の瞬間、思わず棺の中の院長の亡骸に目をやる。
恐怖に駆られて混乱し、逃げ出そうとする。
「何をしているのですか!当番ではないのですか?」
「私は・・私は・・ 時間が過ぎたので・・」
「何が言いたいのですか?交代の人はもう居るのですか?」
「要するに、コンスタンスが呼びに行ったのです。だから・・」
「だから?怖くなったの?それで?」
「戸口まで行っても構わないと思ったのです・・」
「およしなさい。任務を全うできなかったのは事実です。仕方がありません。
こんなに取り乱して・・でもあなたが震えているのは、あるいは、
夜の冷え込みのせいでしょう。あなたの部屋までついていきましょう。
今は、小さな出来事を悔やんだりせず、横になっておやすみなさい。
それ以外のことはもうしなくてもよろしい。
明日になったら、過ちはあなたを苦しめるでしょう。
そうなって初めて、神に許しを請うことができるのです。
これ以上神にそむく恐れもなく。」
ブランシュ部屋に戻る。
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