木曜日, 10月 05, 2006

カルメル2幕1場

カルメル会の礼拝堂。夜中。棺は6本のろうそくに照らされる。
なくなった修道院長の棺は蓋を開けたまま。礼拝堂の中央におかれている。
ブランシュとコンスタンスは亡骸の番をしている。

「ラザロの墓よりその方は復活なされました。
主よその者に安息と、慈悲の御心をお与えください。
そのお方はいける人と死せる人とを
炎を持って永久のときをお裁きになるため来られたのです。
主よそのものに安息と、慈悲の御心をお与えください。アーメン」
コンスタンス交代の修道女を呼びに出て行く。
ブランシュひとり。凍りついたように固まっている。
次の瞬間、思わず棺の中の院長の亡骸に目をやる。
恐怖に駆られて混乱し、逃げ出そうとする。
「何をしているのですか!当番ではないのですか?」
「私は・・私は・・ 時間が過ぎたので・・」
「何が言いたいのですか?交代の人はもう居るのですか?」
「要するに、コンスタンスが呼びに行ったのです。だから・・」
「だから?怖くなったの?それで?」
「戸口まで行っても構わないと思ったのです・・」
「およしなさい。任務を全うできなかったのは事実です。仕方がありません。
こんなに取り乱して・・でもあなたが震えているのは、あるいは、
夜の冷え込みのせいでしょう。あなたの部屋までついていきましょう。
今は、小さな出来事を悔やんだりせず、横になっておやすみなさい。
それ以外のことはもうしなくてもよろしい。
明日になったら、過ちはあなたを苦しめるでしょう。
そうなって初めて、神に許しを請うことができるのです。
これ以上神にそむく恐れもなく。」
ブランシュ部屋に戻る。

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