土曜日, 10月 28, 2006

テレーズから

テレーズ、最初は青と赤の乳房を着けて、ほうきをもって登場!

亭主の「飯はまだ?」の声にうんざりし、ほうきを投げ出す。

青と赤の乳房(風船)をはずし、大笑いする。

乳房に見とれる。

乳房を壊す。

口ひげと顎鬚をつける。

「ティレジアス」と名乗り、去っていく。

占い師の格好をして再登場。

「私のことわかるでしょ?」とテレーズに戻る。

要するに、最初が肝心。 胸と髭

金曜日, 10月 20, 2006

テレーズ

ティレジアスの乳房のお話。
テレーズは、若くエキセントリックで美しい奥様。
多分新婚でしょう。
アメリカで口説かれ、アフリカのザンジバルに嫁入り。
「飯はまだか?」と繰り返す夫にうんざりしている。
男になって戦争をしたいだの、弁護士になりたいだの、
レストランのボーイになりたいだの、
踊り子の面倒を見たいだの、畳み掛けるように口にしているうちに、
彼女の胸は赤と青の風船になって宙を舞い始める。
彼女はしばし自分の胸に見とれるが、そのうち決心して、
プチッと壊す。すると、テレーズは髭面に!
男になってしまったテレーズを見て亭主はビックリ。
テレーズの洋服を着た髭もじゃの男をみて、
「テレーズを殺してしまったのか!」と言い放つ。
「そうね、もう私はあなたの妻ではない。
これからはあなたよりもっと男らしくなり、
「ティレジアス」と名乗ることにするわ!」
残された亭主は、家庭を作る夢を捨てきれず、
「愛の力」によって、女となり、何万もの子供を産む。
そうこうしているうちに、占い師に化けたテレーズが戻ってきて、
「幕が下りる前に、愛し合わないといけないわ」
なんだか目出度く仲直り。 

変な話!

木曜日, 10月 19, 2006

次はティレジアス

主人が専門家なので、プーランクを歌う機会に恵まれる。
5月は「声」10月は「カルメル派修道女の対話」そして今度は「ティレジアスの乳房」
プーランクのオペラは以上3作品のみ。もっと作って欲しかった。
ティレジアスの乳房は、アリアのみ歌ったことがあるが、
今回抜粋で他の部分も歌うことになった。
といっても、この1時間くらいの短いオペラ作品の中で、
タイトルロールになっているテレーズ役は、最初と最後に出てくるのみ。
あとは、「亭主」役が、大活躍のオペラなのだ。

さて、これから勉強。

火曜日, 10月 10, 2006

カルメル反省

無事に歌いとおすことが出来た。まずは○。
舞台に居る間、ずっとブランシュに集中できた。それも○。

何度歌ってもいつも必死。必要以上に声を張ってしまうときがある。
肩の力が入ってしまったり、自分の響きに信頼が無くなったり、
何度歌ってもその「必死さ」から脱することが出来ない。

次にブランシュを演じるときは、
脱力系を目指そうと思った。

日曜日, 10月 08, 2006

ギロチン前夜

明日はカルメル派修道女の対話本番。
本番前夜。中秋の名月で夜空が晴れ渡る中・・・

1)治療中の仮歯が取れて、しかも砕けた。
 明日は日曜日、明後日は祝日で休診日。 予約は来週の水曜日。
 どうしようもない。
2)私の明日のお兄さん役のテノールから電話。
 明日の芝居のことで確認事項。
 とても珍しいことなので驚く。でもちょっと嬉しい。
3)芝居の流れの確認だけでもしようと思いながら、
 ケーブルでやっていた、3時間長編の映画を見てしまう。
4)大してお腹がすいていないくせに「カツ丼」を食べる。
5)昨日から仕込んだ、ピザ生地とピザソースを使い、
 ピザをみんなにご馳走した。楽しかった。
6)犬が下痢をした。整腸剤を飲ませた。
7)一番本当のことを言ってくださる、ある意味「キビシイ」
 お客さんから、明日来れないと連絡がある。
8)夜11時過ぎてから「ウォーキング」に出かけた。
 美しい夜空を楽しみながら、約6000歩。軽く。
9)これからシャワーを浴びる。
10)明日は何もしたくないので、主人に昼食夕食を頼む。

まあ、普通の感じ。 明日はギロチンの露と消える修道女。

木曜日, 10月 05, 2006

カルメル3幕2場

ドゥラフォルス家の書斎。荒れ果てている。
みすぼらしい格好をしたブランシュが火の番をしている。
ブランシュは召使同様に扱われている。
メールマリーが突然入ってくる。
「あなたは!」
「ええ、あなたを探しにきたのです。」
(取り乱し、おろおろして)
「私は今、自由ではなくて・・でも、何日かしたら、多分・・」
「何日か後ではだめなのです。今すぐに!何日か後には手遅れになるのです。」
「手遅れに?何故?」
「あなたを救うために」
「私を救うために?(怯えて)あそこは、安全だとでも仰るのでしょうか?」
「ここよりも危険は無いですよ、ブランシュ」
「(不安げに)信じられません。このようなときに、ここよりも安全なところがありますか?
死は高いところにやってくるのですから。でも私は疲れ果てています。(ガタガタ震えて)メールマリー。
(取り乱して)まあ!シチューが焦げてる!あなたのせいよ!何てこと!どうしたらいいの?」
「心配しないで、ほら、もう大丈夫です。何故泣いているのです?」
「あなたがとても親切だから・・でも、泣いていること自体恥ずかしいことです。
(やさしく懇願して)私は放っておいて欲しいだけ。構わないで欲しいのです。
(激しさの限りで)何を咎められるのでしょうか?私が何をしたのです?
私は神を侮辱したりしない。この臆病でさえ、神にそむかない。
私は、恐怖の中に産まれました。それを自ら体験し、その中でまだ生きている。
全ては恐怖心を軽蔑し・・つまり、私は軽蔑の中で生きているのと同じなのです。
長い間、そう思っておりました。それを言えないで居たのは、父が居たから・・
でも死んだわ。(ボソボソと)彼は数日前ギロチン刑になりました。
自分の家に居ながら、私は父とその名に値しない者です。
他にどうすれば?惨めな召使として生きるほかに・・?
(挑戦的に)昨日、彼らは私をぶったのよ。そう!ぶったのです!」
「不幸なこと、それは軽蔑されることではなく、自分自身を軽蔑することです。
キリストの聖なる臨終のブランシュ!」
「はい」
「ある住所をあなたに言います。受け取りなさい。
マドモワゼル・ローズ・デュコール サンドゥニ通り
彼女のところなら安全です。
ローズ・デュコール サンドゥニ通り
私は明日の晩、そこであなたを待ちます。」
「(陰気に)行きません。行けません。」
「あなたはきっとやってくるわ。」
「ブランシュ!お使いの時間だよ!」

カルメル2幕3場

修道院の面会室。ブランシュの兄である、ドゥ・ラ・フォルス騎士が面会に来ている。
「あなたは目を伏せたままもう長い時間黙ったままだ。
それが兄を迎える態度だというのか?」
「神はご存知です。私はあなたを嫌な気持ちにさせたくないことを」
「手短に言うが、父上は、ここがもう安全ではないと言っているのだ」
「私が居るべき場所ではないのかもしれません。
でも私は満足しています。そう思うのです。」
「あなたは変わってしまった。今のあなたはぎこちなく、無理をしているようだ」
「ぎこちなく感じられるのは、私がまだ不慣れで不器用なためです。
幸せで解放された幸福を実行できていないのです。」
「幸せなのかもしれないが、解放されては居ない。
あなたには、そう簡単に自然を克服することはできないはずだ」
「まあ、それでは、カルメル会での生活が、
あなたには私の本質に適していると?」
「このような時代だと、みんなから羨まれていたような女性が、
よろこんであなたの立場に変わりたいと申し出るだろう。
辛いことを話すようだが、召使に囲まれ、一人きりの父上の姿が目に浮かぶのだ」
「あなたは、私が恐怖心からここに居るのだと言うのですか?」
「恐怖に対する恐怖とでもいうか、その恐怖に優越は無い。恐怖に過ぎない。
死の恐怖に身をさらすように、恐怖の危険を知るべきだ。
その危険の中に本当の勇気が・・」
「私はここでは単に、神に捧げる小さな生贄に過ぎません」
「ブランシュ、先ほどのあなたは、弱弱しく倒れてしまいそうに見えた。
私は、粗末なオイルランプの明かりに照らされ、子供時代を思い出した。
私たちがいがみ合うのも、ぎこちなさのため。
それとも、僕の小さなウサギは変わってしまったのか?」
「ああ、なぜ毒をまくように私を惑わせるの?
その毒のせいで危うく命を失うところだった。
そう、私は変わってしまったわ!」
「何ももう、怖くは無いのですか?」
「私はもう何からも傷つけられません」
「それではさようなら、愛しい人。」
「ああ、わだかまったままさよならをおっしゃらないで。
ああ、あなたはずっと長い間、私を憐れんでくださる・・
憐れみの代わりに、ただ、お友達のように私を認めてください」
「ブランシュ、今度はあなたが厳しいことを仰るのか」
「私は優しく愛情をこめてお兄様にお伝えしております。
でも、私はもう、小さなウサギではないのです。
私はカルメルの娘です。あなたのために苦しみを背負うのです。
ですから、お願い、私のことを戦友のように思ってください。
これからの戦い、それぞれのやり方で、
私の戦いも、危険を抱えたお兄様のものと同じなのです。」
兄は複雑な表情で部屋を出て行く。
ブランシュ倒れそうになる。
「しっかりしなさい!ブランシュ!」
「ああ!私は嘘をつきませんでしたか?自分を見失っているでしょうか?
ああ!私は彼らの憐れみに疲れ果てたのです。神よ、お許しを!
やさしくされるのはうんざりです。ああ、彼らにとって
私はずっと子供のままなのでしょうか」
「さあ、もう行かなくては・・」
「私は高慢でした!きっと罰せられるに違いありません」
「高慢に勝つ方法は一つだけ。それより高いところに行くのです。
誇り高く居なさい!」

カルメル2幕幕間

ブランシュとコンスタンスは、亡き院長の墓に捧げる
花の十字架を作り終えたところ。
「ブランシュさん、この十字架は大きすぎるわ。
院長様のお墓はこんなに小さいのに。」
「残ったお花はどういたしましょう?」
「そうね、新しい院長さんに花束をつくりましょうか?」
「メールマリーはお花を喜ばれるかどうかわからないわ」
「まあ!そうなるといいわね!」
「お花をお好きだと・・?」
「いいえ、ブランシュさん、私はあの方が院長に選ばれたらって。」
「あなたは神が何でもかなえてくれるとお思いなの?」
「何故いけないの?偶然といわれるものだって、神様のご意思よ。
思い起こして、ブランシュさん、院長様の死を。あんなに苦しまれて・・
まるで神が死を与える相手を間違えられたようだわ。
別の人の洋服と間違えてしまったように・・
あの死は、院長様には袖が小さすぎたのね。
「他の人の死!何がおっしゃりたいの?コンスタンスさん」
「たぶんその人は、死を迎えたとき、とても安らかだったでしょう。
人はそれぞれ自分の死を迎えるのではなく、互いのために迎えるのです。
ほかの人の変わりになくなる事だってあるのではないかしら?」

カルメル2幕1場

カルメル会の礼拝堂。夜中。棺は6本のろうそくに照らされる。
なくなった修道院長の棺は蓋を開けたまま。礼拝堂の中央におかれている。
ブランシュとコンスタンスは亡骸の番をしている。

「ラザロの墓よりその方は復活なされました。
主よその者に安息と、慈悲の御心をお与えください。
そのお方はいける人と死せる人とを
炎を持って永久のときをお裁きになるため来られたのです。
主よそのものに安息と、慈悲の御心をお与えください。アーメン」
コンスタンス交代の修道女を呼びに出て行く。
ブランシュひとり。凍りついたように固まっている。
次の瞬間、思わず棺の中の院長の亡骸に目をやる。
恐怖に駆られて混乱し、逃げ出そうとする。
「何をしているのですか!当番ではないのですか?」
「私は・・私は・・ 時間が過ぎたので・・」
「何が言いたいのですか?交代の人はもう居るのですか?」
「要するに、コンスタンスが呼びに行ったのです。だから・・」
「だから?怖くなったの?それで?」
「戸口まで行っても構わないと思ったのです・・」
「およしなさい。任務を全うできなかったのは事実です。仕方がありません。
こんなに取り乱して・・でもあなたが震えているのは、あるいは、
夜の冷え込みのせいでしょう。あなたの部屋までついていきましょう。
今は、小さな出来事を悔やんだりせず、横になっておやすみなさい。
それ以外のことはもうしなくてもよろしい。
明日になったら、過ちはあなたを苦しめるでしょう。
そうなって初めて、神に許しを請うことができるのです。
これ以上神にそむく恐れもなく。」
ブランシュ部屋に戻る。

カルメル1幕4場

危篤の院長の寝室。メールマリーが看病に当たっている。
院長に特別に呼び出されたブランシュ、扉をたたく。
「お通しして」
メールマリーは、ブランシュを通した後、部屋を出る。
ブランシュベッドの傍で跪く。
「お立ちなさい。娘よ。
誰よりもあなたのことを気にかけています。
遅くにできた子供のようです。誰よりも危なっかしく、
ハラハラさせられてもいます。
あなたを危険から守るためなら、私はこの憐れな命を進んで捧げます。
・・あぁ、そうね、捧げましょう。今の私にはこれしかない、
死しか、とても憐れな死・・
(ブランシュ再び跪き、泣きじゃくる)
神は聖者や英雄、殉教者を誇りに思われます。貧しいものにも光栄を与えます。」
「私は貧しさを恐れません」
「貧しさにもいろいろあって、惨めな貧しさに、あなたは浸ることになるかもしれません
いとしい娘。 何があっても素直でいなさい。神の手の中で、
いつまでも従順でやさしくあり続けて。
聖者は誘惑と戦うことも、自分自身に反発することもありませんでした。
反発は常に悪魔のものです。くれぐれも自分を卑下しないで。
神はあなたの誇りを引き受けられたのですよ。
それはずっと安全なことなのです。
さあ、しっかりお立ちなさい。あなたを祝福します。わが娘よ。」
ブランシュは一旦部屋に戻るが、取りつかれたようにまた戻ってくる。
その間に院長は錯乱状態になり、神をののしり始める。
ブランシュは凍りついたように立ちすくむ。
「院長様は、あなたを傍にと呼んでおられます。」とメールマリー。
ブランシュ院長の傍による。
「とんでもないことだわ!許されないことです!」とメールマリーつぶやく。
「お許しを!・・死が・・怖い!・・・死ぬのが怖い!!」院長臨終。
「院長様は望んでおります。 ・・おりました。 ・・きっとそうです。」

カルメル1幕3場

カルメル派修道院の一室。
入会を許されたブランシュは、年若いコンスタンスとともに、
雑用に追われている。 コンスタンスは、到着した荷物をチェックし、
ブランシュは洗濯物をたたんでいる。

他愛もないおしゃべりが止まらないコンスタンス。
聞くともないおしゃべりの合間、自分との違いに驚きながらも、
「院長様のお体が思わしくないのに、不謹慎です」と非難する。
それならば、院長様が助かるのなら、私の命を捧げます。と言い放つコンスタンス。
「でも、59歳なら、もう死んでも良いころかしらね」
冗談を言うコンスタンス。「死ぬのは怖くないのですか」取り乱すブランシュ。
「きっと怖いわ。 ずっと前は。でも今は全てが楽しいから・・
死ぬことも同じなんじゃないかって・・ 淡々とお仕事をすることも、
神様に仕える生活も楽しいのよ」
「冗談ばかりを言って、神様がお怒りにならないかしら」嫌味を言うブランシュ。
「まあ、ブランシュさん、意地悪をしているみたいだわ」
「いいえ、そうではなくて、ただあなたが羨ましくて」
「私が羨ましい?どうして?変な話よ。
私なんて鞭打ちにされてもいいくらいです。院長様の
死を軽々と話してしまったわ!・・・
ああ、ブランシュさん、先ほどはごめんなさい。
仲直りをしましょう。
一緒にひざをついて、院長様のために、私たちのこの小さな命を・・」
(動揺して)
「子供じみているわ!」
「そんなことないですよ。・・突然ひらめいた考えだけど、
全然悪い考えではないわ。私はいつも、若いままでいたいと・・」
「私にいったい何を・・?」
「そうね、あなたに会ったとき、願いがかなうと感じたのよ・・」
「願いって何? ・・答えて頂戴」
「そうね、神様は、私を若いままでいさせてくれるのよ。
私たちは一緒に亡くなるの。同じ日に・・
どこで、どのように、なんてまだわからないけれど」
「何てこと!恥ずかしくないの?人の命を自分の命のように・・
あなたは傲慢だわ、悪魔みたいに・・・そんなこと、やめて下さい!」
「あなたを傷つけるつもりはなかったのよ」

カルメル1幕2場

コンピエーニュのカルメル派修道院の面会室。
ブランシュは、院長に入会を申し出るためにやって来た。
格子越しにやってきた院長は、車椅子。
高齢で体の具合が悪そうに見える。

院長は、厳しい言葉でブランシュの入会への決意を確かめる。
ブランシュは、その決意がゆるぎないことを懸命に伝える。
入会の理由を聞かれ、一瞬戸惑うブランシュ。
恐怖心から逃れたいためという真実を口にできず、
殉教さえも厭わない英雄的な生き方に憧れたと、見栄を張る。
院長はそういう生き方が簡単に手に入ると思ったら大違いだと諭す。
ブランシュは、ただ、自分に打ち勝って生きたいと告げる。
院長は、会の方針について、厳しく説明する。
常に「祈る」ということが、カルメル会の真髄であることを。
そしてブランシュにはつらい日々が待ち受けていることを。
「神が力をお与えになりますわ」と返すブランシュ。
「神が試されることは、力でなく、弱さなのです」
ブランシュは、自分の弱さを省みて思わず嗚咽する。
「私が泣いているのはむしろ嬉しいからです。厳しいお言葉も、
あなた方のほうへ行くことを止められはしないのです。
・・・・実のところ、私には他に道がないのです。」
「私たちの規律は、あなたの拠り所ではありません。
私たちが規律を守っていくのですから・・
ところで、入会後の修道女名は、もうお考えですか?
・・きっとまだですね」
「もう決めました。私は、キリストの聖なる臨終のブランシュを希望します」
院長はこの言葉にピクリと動揺する。

カルメル1幕1場

時は市民革命混乱期。ミサに出かけたブランシュの馬車は、
帰り道、ビュシー交差点で群集に取り巻かれてしまう。
それを見たダマス氏は、ブランシュの兄に事の次第を話す。
心配するブランシュの兄。慌てて父親に報告に向かう。
父親は、群衆に囲まれ恐怖を体験し、ブランシュを産み落とし
そのまま亡くなった夫人の事を思い起こし苦悩するが、
何があろうとも事実をありのままに受け入れられない性質になっている。
そんなところにブランシュの帰宅。
心臓まで凍りつきそうだった恐怖をまだ抱えたまま、
父親に帰宅の挨拶をする。
「あなたの兄上が心配しておられるぞ」
「小さなウサギごときに、ご心配されているのですね。」
ブランシュは明るく振舞おうとつとめるが、
ふと激しい疲労感に追われ、その場を失礼すると言う。
部屋に戻るなら、明かりをもっていきなさいと、
兄は心配する。
部屋に戻ったブランシュは、明かりをつけようとやって来ていた
召使ティリーの影に驚き、悲鳴を上げる。
その足で絶望感とともに、父親の元に逃げ戻るブランシュ。
そんなブランシュを見ても、父親は「大したことがなくてよかった」とそ知らぬ顔。
ブランシュは、何処にも行き場のない恐怖心を抱えきれず、
とうとうカルメル会に入信することを告げる。
誇り高く生きていくようにと諭す父親を背に、
神の御心に全てを委ねて生きていくことが、誇り高く生きることだと
信じたいと言い放つ。
父は無言のまま、しかしながら、入信を認める。